16/08/14
アルテック 515Bウーファーのリコーンと再着磁
松波邸の壁バッフルに使用しているアルテック515Bの
リコーンと再着磁を行いました。
取り外した8本の515Bですが、
オーナーによるとPA用のA5から取り外して
苦労して集めたとの事。
そのため少しずつ仕様が違います。
1.
リコーンの状況です。
右側はオリジナルコーンの515B
左側はコーン紙を取り去ったフレーム
新品のコーン紙(エッジにダンプ材を塗布しています)と、
ダストキャップとダンパー
布エッジなのでエッジにダンプ材を塗布しています。
ボイスコイルにダンパーを取り付け中
コーン紙の貼り付けとセンターキャップの貼り付け
コルクのガスケットを接着
左側がリコーン前、右側がリコーン後。
コーン紙の色とエッジのダンプ材が違います。
2.
再着磁
着磁機による再着磁の様子
着磁前と着磁後の
磁気回路の磁束をテスラメーターにて測定
3.
設置
Rch側の設置状況
Lch側の設置状況
Lch側の前面
Rch側の前面
4.音質の評価
リコーンと再着磁以前と比較して
イ)まず音が静かになった。
ロ)音の出方が速くなり、音の消え方も速くなった。
ハ)低音がより下まで伸びて
今まで聞こえなかった細かい超低音のニュアンスが聞こえる。
ニ)全体の音の分解能が向上し、音のアタック音がより鮮明になった。
特にピアノの音が格段に良くなった。
ホ)中低域の音の濁りが格段に減少した。
今までこの濁りはマッキンMC2300の出力トランスの音と思っていましたが、
そうではなかったようで、新しい発見でした。
以上の原因として
ヘ)515Bのガスケットが劣化して硬くなり、
515B本体の振動が壁バッフルに伝わって音を濁らせていた。
ガスケットが新品のコルクになり、
515B本体の振動がコルクのガスケットにより
伝わりにくくなったので、
クリアーな音になった。
ト)515Bのエッジのダンプ材のビスコロイドが硬化して
エッジの動きが悪くなっていた。
そのためコーン紙の動きが悪くなりコーン紙が変形して
歪みが多くなっていた。
チ)強度が低下したコーン紙を新しいコーン紙にリコーンしたので、
歪みが減少した。
特にエッジに塗るダンプ材が軽く薄いので、
エッジの動きが速くなった。
リ)長年PAで使用されていた515Bユニットなので、
磁力が低下しているのを
再着磁により磁力が回復して
反応の速い音が出るようになった。
聴いた感じでは最新のウーファーのような音の出方で、
とても40年以上前に設計されたウーファーとは思えない音がしています。
これは再発見でした。
これからこの音を聴かれる方には大ショックでしょう。