「QUADU」と「QUAD QCU」のメンテナンス
18/12/12

QUADの古いモノラルパワーアンプ「QUADU」とプリアンプ「QUAD QCU」のメンテナンスを依頼されました。
パワーアンプの出力管はKT−66の古いタイプです。




まず内部のコンデンサーの点検です。

整流管CZ32での真空管整流なので,
電解コンデンサーの容量を点検しましたが、良好でした。


但し、絶縁計で250Vを掛けた処、数メガオームしかなく、
諦めて新しく500V47?Fの電解コンデンサーに変更しました。

取り付け場所は、整流管に直ではなく、
整流管の熱を放熱させるためにラグ端子を取り付けて,
そこに電解コンデンサーを取り付けました。





出力管のバイアス抵抗も結構熱を持つので、
これに取り付けるコンデンサーも放熱のためにラグ端子に取り付けました。

出力管に繋がるカップリングコンデンサーも、
熱による劣化で絶縁抵抗が劣化していたので交換してラグ端子に取り付けました。


このコンデンサーの絶縁が劣化すると、出力管が暴走して電流が増えて
出力トランスが断線する場合があるので、慎重に行いました。


これでプリアンプを接続せずに球を挿して電源を入れた処、
出力管「KT66」の2本のうち1本のヒーターの色が暗く、
電流も殆ど流れていませんでした。

そのままで出力を測った処、
本来は15Wは出せるのに6Wしか出ず、
オシロで波形を見ると片側が先にクリップしていました。

歪みも1KHz1W時で2%もありました。


そこで手持ちの中古の「6550」に交換して、
電流値が設計値通りになるように共通カソード抵抗を増やして調整しました。
この状態で出力は19.5W、歪みも1W時んで0.088%です。
ノイズも入力端子ショートの状態で0.2mVと優秀です。





プリアンプ「QUAD QCU」は、パワーアンプ「QUADU」から電源を供給される仕様です。

まず、電源部の電解コンデンサーですが、全て絶縁が不良なので新品に交換しました。



アンプ部のカップリングコンデンサーも全て測定して絶縁不良の物は交換しました。



イコライザー部の球はEF86(6267)、フラットアンプはECC83(12AX7)です。


プリアンプをパワーアンプに接続した処、正常に動作しました。






このアンプは電源がUK仕様の220Vなので、
専用の100V−220V 1KVAのトランスを接続します。
このトランスのコアの容量が大きいのでコアが盛大に「唸り」ます。
そのため「唸り防止回路」を挿入したのでほぼ「唸り」が消えました。