EAR899
片ch音が出ないという事でしたのでチェックしました。
KT90の差動SEPPのようです。
出力管は自己バイアス動作となっております。
ドラウブにはECC83(12AX7)とECC85(6AQ8)が使用されております。
初め片側のECC85のヒーターが点灯しておらずMT管用9Pのソケットの点検をして
ソケットと真空管の足との接触を大きくするように加工をした処、ヒーターが点灯しました。
その後ソケットとプリント基板間の再ハンダ付けを行いました。
今までの音質をなるべく変更せずより音を良くしたいと思っておりますので、
出力段からECC83とECC85に供給しているB電源を定電圧化しました。
出力管のバイアスを固定バイアスにしようかとも思いましたが、
回路上無理でしたので諦めました。
自己バイアスのバイパスコンデンサーの容量を大きくする事も出来ますが、
下手に大きくすると低域の周波数特性にピークが出たり
超低域信号が入ると出力トランスが飽和して歪みますので
あえて行いませんでした。
この現象は10Hz以下まで出せる発振器とストレージオシロでないと観測出来ません。
過去に低域にピークがあったり超低域で出力トランスが飽和して歪んでいるアンプもありました。
アマチュアがシングルアンプやコアの小さいPP用出力トランスで
無理矢理低域を延ばした設計をする事がありますが、
グレードの高いスピーカーで聞きますと低域が歪んでいるのが判別出来ます。
ノーマルは左右別に電源が供給されているので同様としました。
スイッチON時の電圧が500Vを越えるので耐圧が600Vの制御トランジスタを使用し、
約200Vのツェナーダイオードが要るので18V用等を複数使用して電圧を調整しています。
安定化後に約385Vを供給しています。
音質としては今までよりより安定した音になり、
細かな音や遠近感が出てくるようになりました。
但し、どういう分けか判りませんが、
ECC83とECC85のヒーター電圧が規格より2−3割方低く
エミッションが足りません。
プリアンプの時も同様でした。
単にS/Nを稼ぐためにやっているのかどうか判りませんが
最低限ヒーターの規格通りの電圧を掛けて欲しいです。
このヒーターの電圧UPは電源トランスの関係上残念ながら出来ませんでした。