三栄無線 KT88プッシュプル パワーアンプ
19/12/29




ある方より、購入したアンプのメインフューズが切れるので、
見て欲しいという事で持ってきて頂きました。

内部の電源コンデンサーとダイオードをチェックしましたが、短絡等の異常はありません。

そこで出力管を外してフューズを交換し、電源を入れた処、
バシン!という音がしてから電源が入りました。

良く調べたところ、
電源コンデンサーに並列に入っているブリーダ抵抗
470キロオーム1Wの皮膜が剥げていました。

ここには約280Vが掛かっているので、
経年劣化で絶縁が悪くなり、短絡したようです。

そこで220キロオーム3Wの抵抗を2個シリーズにして
440キロオーム6Wにし、
470キロオーム1Wと交換して電源を入れた処、
正常に電源が入りました。







このパワーアンプは30年以上前に
東京秋葉原の三栄無線がキットとして発売したアンプです。

タンゴの
FW−100−5Rという
30Hz100Wの大型出力トランスと、

MSー380DRという
380VAの大型電源トランス、

チュークコイルは
1H400mA

の組み合わせで、
豪華なアンプです。
相当高価なキットだったでしょう。


シャーシレイアウトはマッキンMC275を踏襲しています。

出力管KT88は電源電圧550Vで、ウルトラリニアー接続になっており、
ハンドブックのデータによると100Wが出る仕様です。





回路としては初段が12AX7(ECC83)、2−3段目が12BH7Aとなっています。
ムラード増幅(差動1段反転)に出力管をカソードフォロアでドライブという設計です。





出力管を刺して、カソード電流が1本48mAになるようにバイアスを調整しました。







8オーム負荷時のゲインは29dbと高感度で、
ボリュームを絞った時のノイズは
Lch 0.25mV
Rch 0.2mV
と少ないです。

高域特性は左右共に
54KHz−1db
75KHz−3db
と無理のない帯域です。

低域は1W時で、
5Hzまで測りましたが、低下は無く、
それ以下は測定が大変なので測定しておりません。

歪みは1W時
1KHzにて左右とも0.03%

10KHzで左右とも0.04%以内です。

100Hzでは左右とも0.05%以内です。