Marantz #2 モノラル パワーアンプ


ある方よりこのアンプの修理とメンテナンスを依頼されました。




伺って引き取りましたが、回路図が無いので
友人に依頼して取り寄せていただきました。






まずACコードが経年劣化して絶縁が折れて危険な状態なので、交換しました。

内部を開けてみた処、出力管6CA7のバイアス回路の電解コンデンサーが劣化していました。
ここが劣化すると整流用セレンが過電流で壊れ、
出力管が壊れてスピーカーにも影響するので、
これも新品に交換しました。






AC117Vの電源に接続して電源を入れた処、
1台の双3極管6CG7の片側のヒーターが断線していたのでノイズが出ていました。

この6CG7がRCA製で手持ちになく、
互換品のLUX製の6240Gが2本あったので、
了承を得てこれに交換。


ところが初段の12AX7(ECC83)が
テレフンケン製とAmperex製だったので、これも了承を得て
手持ちのテレフンケン製ECC83も含めて選別して
2本ともテレフンケン製に統一しました。

こうしないと2台のアンプの音色が統一しません。



真空管のソケットも埃にまみれており、
ピンが熱で黒くなっていてかつ開いているので
真空管を差し込んでも接続が緩いです。

ソケットを交換するのは同一銘柄のソケットの入手が大変なのと、
交換・取り付け・配線が大変なので
そのためソケット内部を清掃して
ピンの開きを狭くしました。
そのため球の抜き差しがきつくなりました。






まず出力管のバイアス電流(60mA)を付属のメーターにて調整し、
初段のECC83を選別して歪とノイズ
を測定しながら調整しました。


そうすると驚くべき事に
1KHz1W時の歪が0.01%を切り、
2台共0.005%台となりました。
(発振器歪率0.0015%)
0.1W時は0.01%台です。

10KHz・125Hzも1W時は0.01%台
0.1W時も0.01%台です。

10W時は1台が10KHzが出力管のバラツキにより
悪化しました。(0.24%)
その他は全て0.1%以内です。


最大出力はUL接続時に2台とも
クリップ寸前で42W出ました。

ノイズは入力ショートで
8Ω端子にて0.25mV


周波数特性は
8Ω端子1W時にて
高域は約90KHz−3db
低域は5Hz以下までフラットです。
(ミリボルトメーターの指針限界)



消費電力は
アイドリングで165W
定格出力時で200W


PSE検査では
DC1000V1分間にて絶縁OK
ホッとしました。





音質は抜けが良くて遠近感があります。
力はありませんが歪の少ない音です。

チェンバロの音がきつかったので補正を入れました。

チェンバロやピアノの音の
高域と低域で音色や音の出方が違います。

これは生録をしていないと判らない事です。

これもある部分のコンデンサーの増量で治りました。