Mclntosh MC-60



古いマッキントッシュのモノラルパワーアンプです。
点検と音のグレードアップを依頼されました。


出力管は6550のプッシュプルで、60W。
整流は5U4Gを2本使用した贅沢なアンプです。

左の黒いシールドケースの初段は12AX7で片ユニットは何と安定化電源回路になっています。
次の12AU7は差動反転回路で、次の12BH7も一応差動増幅回路です。
6550をドライブする12AX7(現在は5751に変更されています)はカソードフォロアとなっていますが、
バイアス回路は安定化はされてはおりません。







まず周波数特性と残留ノイズ及び最大出力を測定してみました。

周波数特性は低域は5Hz−3db,高域は100KHzまで伸びてから
−6db位低下したのちに200KHzで再度上昇してから低下していました。

残留ノイズは入力ボリュームオープンで裏蓋を開けたままだと10mV位あり、
裏蓋を取り付けても3mV位ありました。
入力ボリュームを絞り切ると0.6mV位になります。

出力は出力管6550が少々弱っていましたが
1KHz8オームで22Vクリップですから60.5W出ました。





整流管を使用しているのでチョーク後に大容量のコンデンサーを付加し、
ドライブ回路にトランジスターの定電圧回路をつけました。
そしてバイアス回路もツェナーダイオードで安定化させました。

6550は各55mA位になるようにバイアス電圧を調整し、
出力管も選別しました。




調整とチューン後はボリュームオープンでノイズは1mV位になり、
高域の周波数特性は出力トランスのピークを考慮して100KHz−3dbとし、
ピークを減らしました。

又、出力トランスのスピーカー端子には高域安定回路が入ってなかったので
入れて10KHzの矩形波が綺麗になるようにしました。


このアンプは古いため電源電圧はUSAの117V仕様なので
ステップアップトランスにてAC100VをAC117Vに昇圧しています。



点検とチューン前の音は何かザワザワした中低域に力の無い音がしていましたが、
高域特性の処理により煩くない静かな音になりました。
トランジスターの安定化電源と定数の変更により力強い音になりました。

元々贅沢な電源とモノラル仕様のため
セパレーションの良いクリアーで遠近感のある音が出るようになりました。

引渡し後の感想は
ビックリする程ノイズが少なくなり、静かで力強い中低音が出るようになって
高域が艶やかでザワザワしなくなったとの事です。