村嶋さんのページ1.
大会に持っていったアンプについてまずは一覧にしてみましたが
今回は取り敢えずTM−2Fと16C−B28の分をお送りします。
1.TM−2F シングルステレオアンプ+218整流B電源ユニット
2.16C-B28(16GY5) シングルステレオアンプ
それでは各アンプのセールスポイントや出力管の特徴についてです。
1.TM−2Fシングルステレオアンプ
このアンプはご覧頂いたように、とても大きなアンプです。
このアンプは新屋氏のE3030Bアンプをかなり意識して製作しておりますが、
我ながらこれだけのものが短期間(6ヶ月)でよくできたなあと感心できるアンプです。
新屋氏のアンプを昨年の末に拝見してなんとかあれに負けないアンプということであれこれ考え、
いずれブースターアンプとして使う予定をしていたロシア製のTM−2Fを通常のアンプとして使うことを軽い気持ちで思いつき作った次第です。
(後でひどい目にあいました)。
セールスポイントは次のようにと思っています。
(1)
とにかく手作りとして一味違うアンプ(外道アンプの真髄です)。
(2)
移動を前提としているため、アンプ部とB電源部を分離、アンプ部はさらに上下2分割して持ち運びできるようにしています。
但し、運ぶには重いため最低2人が必要です(一人では腰が危ないです)。
しかし、アンプ部の分割は一人で出来ます。
(3)
終段もそうですが、初段も特徴ある小型のセラミック球7077を使用しました(ハーモニックノイズには強そうです)。
それに取付けてある場所がシャーシの側面というのも面白いと思います。
(4)
出力トランスが通常の電源用1KVAの容量のもので、1次側が0−100−105−115V、2次側が0−470−480−490Vとい
う単純ソレノイドですが出力管のインピーダンスを下げた結果、20Hzから150KHzまでフラットに出してくれます。
(単純なインピーダンス変換器です)。
今回の試聴で高音が良かったので安心しました。
(5)
出力管のインピーダンスを下げるために、出力トランスの回りをヒーターの太いコードをグルグルと巻いてカソードNFが掛るようにしてありますので 外見上の特徴となっています。
(出力管は傍熱型ですがヒーターとカソードが内部で繋がっています)。
(6)
外見は自分の仕事柄強電(高圧)の機器をイメージしたもので、一見近寄り難い大袈裟なものです。
実際耐圧は十分(5KV)で見かけ倒しとは言えませんが、今回は電圧降下もありB電圧はせいぜい600Vでした。
(7)
回路の特徴は、初段は次段の6BQ5(3結)からNFを掛けレスポンスを広げ、
ドライバーの40KG6Aは一見すると3結でSRPP回路ですが、
終段のSGからの帰還量を調整するためアンバランス覚悟で上の球の増幅度を可変出来るようにしてあります。
(まだ完全ではありませんが回路図を添付しておきます)。
tm2fkairo.xlsへのリンク
(8)
出力管について(単独写真は外道分科会でNo.163にあります)
この球は、ロシア製の傍熱4極管です。西側の形式としてTM−2Fとしていますがロシア名はゲーエムイー200と言います。
ロシア文字のフォントがありませんので表記できないのが残念でが、取り敢えず読み方はこうです。
パルス発信器に使用するため、規格としては連続使用のものは載っていませんので、
使用にあたって今まで何台かパルス用の真空管を使ったアンプを作ってきた経験から予測して設計しました。
球の主な定格としましては、Eh=25V Ih=18A Pa=900WVa=32000V Impulse current=90A Weight=5.5Kg
となっています。
ところで、以前Ih=25Aと勘違いしていましたのでアンプにはヒーター用スイッチング電源を25V(24V)、27Aのものを2台付けてあります。
(冷却ファンがうるさいです)。
当然ソケットはベークライトとリン青銅板を使って自作してあります。
この球は気を付けないと、ベースの足が等間隔となっており、差込む位置をツイ間違えてしまいます。
(最初に差し間違えてヒータが灯らず悩んだことがあります)。
規格には自然冷却でもOKですが、やはり積極的に冷却するため、球の上にファンを設けました。
これによりアノードの部分が隠れる形(完全ではありませんが)となり、安全上もよくなっています。
(9)
整流管 218
これも非常に珍しいもので、規格にも保守品種とデカデカと書いてあります。
今回こんな整流管を使う必要はなかったのですが、これもまたツイ思い付きで作ってしまいました。
全国大会ですので出来るだけ派手な方がよいという考えだけでしたので、
実際作ってみてからこの整流管の内部抵抗値が非常に高いことを思い知らされました。
そうです、B電源トランスの出力は確かに1500Vなのですが、アンプ部で測ると800Vしかありません。
これでは計画通りの出力が望めません。
今回の大会会場では更に電圧降下を起こしたことで更にB電圧が低くなっていたようです。
これは全く見掛け倒しでした、この218という整流管は純タングステンのためエミッションがフィラメント電圧に非常に左右されます。
11V、13Aという必要な値になっていなかったため、
内部での電圧降下が著しいものであったと思われます。
それから、球の大きさがかなりあるのに電流は規格で400mAしかとれず、これもまた期待外れでした。
しかし、純タングステンが輝くことについては真空管のアンプが動作している実感が表れていて良かったと思います。
以上他にも、アンプの組み方等色々と著わしたいことがありますが本当に長くなってしまいますのでこの辺で次に移りたいと思います。
2.16C−B28 シングルステレオアンプ
このアンプについては外道分科会No.168に載せてありますが、簡単に特徴を記しておきます。
実はこのアンプがTM−2Fのアンプの回路として原型となっています。
16C−B28はご覧のように水平出力管でトランスレスのTVで使われていたものです。
メーカー名をNECとしてありますが、この球は緑の帯が入っているところをみるとどうやら東芝製であるといえます。
それはともかく、このアンプもまた出力トランスをオーディオ用のものを使わずに、ヒータートランスで代用しています。
それで、オーディオ用トランスに負けない(完全には無理ですが)、
そこそこの性能を出すためにNFBにより出力管のインピーダンスを下げる必要から、当初は超3結の回路でやっていました。
でも超3結回路ではなるほど低域は伸びるのですが、高域がさっぱりでしたのでこれを改善するためにSGからCGへ帰還することを思い付いてそうしました。
これによりヒータートランスであるにもかかわらず20KHz以上の特性になり、きれいな高音が出るようになりました。
やはり途中で発振に悩まされましたがこれも解決しています。
このアンプは調整がシビアでオシロスコープがないと完全に調整できませんので、
大会ではズレていないか心配しましたけど無事鳴ってくれて良かったと思います。