大型密閉箱に入れたテクニクスSB−M2
17/06/05

ノーマルのSB−M2はバスレフで、
箱の容積が約115リッターです。



バスレフ仕様では音圧が低下しながらも30Hzまで出せます。

バスレフですと約60Hz付近から音色が変わってしまい、
音程が聞こえ難いです。

それでダクトを塞いで密閉箱仕様にすると、
低域共振周波数が47Hzになります。

この状態でテストCDから音を出すと
31.5Hzが聞こえます。


でも38センチウーファーとしては箱の容量が小さく、
大音量で鳴らすと箱が振動して音抜けが悪くなりました。



そこで

楓の単板

にて大型の密閉箱を設計製作して欲しいとの
要請がありました。

箱の形状としては
当方の自作箱のような左右と上がR形状でとの事





フロントバッフルの幅はノーマルのSB−M2と同じ幅にして
そこから100Rをつけました。







そしてスピーカースタンドも
箱の下がRの形状になるように設計しました。




箱の容積は
内部の補強や、
ミッドの箱を含まないで300リッターにしました。


箱の製作は
ウェスタンのホーン他も製作が出来る
名古屋の田口木工様にお願いしました。


バッフル等の製作状況です。


箱の左右や上のRは
細く刻んだ板を組んで作られています。





楓の手の込んだスタンドです。







箱の製作が完了して
依頼者のリスニングルームに持ち込んで
組み立てをされました。






箱は本体と前板・裏板の3つを組んでいきます。





画像のフロントバッフルの下側は
ミッドのチャンバーです。




フロントバッフルです。
正目の楓の板を接着していますが、
各接着部にホゾを入れています。




フロントバッフルの取りつけ中です。







リアバッフルの取りつけ状況です。




ユニットを取り付けて完成です。



スタンドのRが効いています。





ネットワークは
当方が製作したネットワークをそのまま使用します。

MIDとHighのインピーダンス補正もそのまま使用します。
今まではエンクロージャーの中に入れていましたが、

今回は箱の外に出しました。






今までの115リッターの箱では
低域共振周波数が
約47Hzでした。

今回の
実質270リッターの箱の場合の
低域共振周波数は
37Hzです。

そのため今までのウーファーのインピーダンス補正値では
整合しないので、
インピーダンスを測定しながら
インピーダンス補正値を変更しました。


この時に発振器から音を出した処、
25Hzが聞こえました。

やはり部屋(35畳)が広いので、
波長の長い音も再生が可能ですね。



試聴

さすがにゆったりした容量の大きい箱です。

音が伸びやかで
箱の形状によって
ひっかかる音が全くありません。

定位は勿論良く、
どの位置で聞いても
ほぼ同じクォリティの音が聞こえます。

特に箱の背面に行って聴いても同様です。

吹奏楽や編成の大きいオーケストラ曲を
難なく鳴らします。


とにかく綺麗な豪華な箱です。

但し、重量が優に100Kgは越えるので、
箱の位置をずらすのが大変です。

これから部屋の吸音材等の配置を考慮すると
より良い音になりますね。


その後に、
音の頭が出難かったとの事で
MID/Highのガスケットを取り去り、
箱とスタンド間のインシュレーターを取り去った
との事です。