ヤマハ NS1000M  18/08/11

以前、マッキンMC2300のチューンをお願いされたお客様より、
ヤマハ NS1000Mのチューンに依頼がありました。

お客様の父親がNS1000Mを持っておられて
長年聞いていらしたようです。

今回入手をされてお聞きになった処、
なにか詰まった感じの音がしているので、
今回のチューニングとなった次第です。






チューニング前に当方のスピーカーと聞き比べた処、
「FMとAM位の差がある」
とおっしゃっていました。



  


ノーマル状態で全体のインピーダンスを測定した処、
低域のFcは40Hzで、Qcが0.6でした。

当方としてはFcが50HzでQcが0.7程度と思っていたので、意外でしたね。

結局JBLの4312を意識した
ヤマハさしさを強調した製品ですね。



ウーファーです。




ミッドユニット


 

 


ツィーター


 
 



NS1000Mのネットワークです。
MPコンデンサーと電解コンデンサーが使われています。

上の6個のMPコンデンサーは
ミッドのローカット用です。

黒い2個の電解コンデンサーはウーファーのハイカット用です。





コンデンサー基板の下にコイルがあります。

左の大きいコイルがウーファーのハイカット用です。




経年劣化で、容量が増えています。

  



下の画像は新たに使用するコイルです。

上のコイルはツィーターのFゼロでのインピーダンス補正用、

中央のコイルはミッドのインピーダンス補正用、
(これに手持ちのコイルが追加します)

下のコア入りコイルは、
ウーファーのハイカット用です。






オリジナルのウーファーのハイカットコイルは、
コアが小さく直流抵抗値が大きいので、

高価ですが、コア容量の大きい直流抵抗値の小さいコイルに変更しました。

ミッドやツィーター用のコイルはそのまま使用しますが、
コンデンサーは全てフィルムコンデンサーに交換し、
容量偏差が1%以内になるように選別しています。


  


ネットワークからウーファーへの配線が約90センチと長く細いので、
最短距離の短い配線にしました。






ユニットを取り付けての調整です。

ウーファーに直列に入るコイルを交換したので、
反応の鈍かったウーファーが良く鳴るようになりました。


ミッドとツィーターも
Fゼロのインピーダンス補正を入れたので、
より細かな音が出るようになりました。



調整に使用した音源は先日録音した
吹奏楽と、バッハのカンタータ、ヴァイオリン協奏曲です。

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先日引取りにお出でになり、
その後に感想を頂来ました。

お客様からの感想です。

早速聞いてみまして、結論から申し上げますと、
想像以上でお願いして良かったです。

最初いろんな音が入ってごちゃごちゃしたロック系を聞いたときは、
聞こえる音もあれば、
引っ込んだように聞こえる音もあり、
車酔いしたような感じがして、
輸送中に壊してしまったかと思いました。

そこで、
ピアノとボーカル中心のシンプルなソースに切り替えたところ、
ピアノの弾き方の強弱、ちょっとしたドラムのアクセント的に入れている音とか、
これまでとは情報量が全く異なっています。

しかも、フルレンジのようにクリアで、SPから音が離れて聞こえました。


最初の戸惑いは、
いろいろな音がしっかり出るようになって、
過去の音の記憶との違いに脳が少々パニックになったのかもしれません。

その後、最初のソースや他のソースをいろいろ聞いてみましたが、
素晴らしいです。
また、元の1000Mらしさは維持されていて、この点も非常にうれしいです。

パワーアンプともども、一生モノとして使っていきたいと思います。


苦労してチューニングをして良かったです。