修理を依頼された
DENON POA1000B
の修理が終わりました。



1.

まず、「オーディオの足跡」を見て、

6GB8のプッシュプルで100Wのステレオ、

カソードNFを掛けて、スクリーングリッドのドライブ段は定電圧電源、

12BH7Aによるカソードフォロアドライブ


という事は判りましたが、

基板配線なので、手が付けられない。

そこで、依頼者より1976年のMJ誌に掲載された回路図を送って頂きました。






2.

これを見ながら調べていくと、

イ)

4本のうち1本の6GB8のエミッションが悪いので、

手持ちの6GB8と交換。

ロ)

Rchからガサガサノイズが出るので、Rchの12AX7を交換。

ハ)

MT管用の9Pソケット8個が焼けていたので、タイトのソケットに交換。

ニ)

以前に交換されたカップリングコンデンサーの立ちが高いので、低くしました。

ホ)

焼けた3Wの抵抗は交換。

ヘ)

電解コンデンサーは殆ど新品に交換。

ト)

特に6GB8用のB電圧の600V用の倍電圧の2本の350V680マイクロファラッドを、

400V1200マイクロファラッドに交換。

チ)

スピーカー端子もバナナプラグ対応の大型に交換。

リ)

フロントパネルの照明用ランプも球切れで点灯していないので、

手持ちのランプに交換。



3.

イ)

各6GB8のカソード電流は、各々50mAなので、4本とも調整。

ロ)

次に、ヒーターバランス回路があるので、

スピーカー端子でのノイズを10mV以上から0.2mVに調整。

ハ)

超低歪に調整(0.002%)した1KHzの信号をパワーアンプのLRチャンネルに入れ、

8オーム端子で1Wの時に差動ドライブ段の12AT7の負荷抵抗の可変抵抗を調整して、

両chとも0.08%になりました。

但し、0.1Wにしても歪率は変りません。

ニ)

周波数帯域は、8オーム端子で1W時で、7Hz〜120KHz(−3db)で、

出力トランスの超低域での歪を考慮して超低域をカットしています。

高域は3キロオームの出力トランスなので、帯域が広く、超高域でのピークがありません。

ホ)

消費電力は、

アイドリング時で約200W、両chフルパワー時で650W位です。

4.

ヒアリングです。

さすがにハイパワーでドライブ段が定電圧電源なので、ゆったりした音ながら細かい音もします。但し、遠近感は出難いですね。

チェンバロだと細かい音の表現が出来ません。

5.

ここで当方が製作の7189APPを鳴らしてみました。


パワーは1000Bが100W+100Wなのに、24W+24Wと約1/4のパワーです。

さすがに力強さはありませんが、音は細かく遠近感があり、

ピアノやチェンバロのスケールや立ち上り下がりの速い音を見事に表現していました。

6.

次にまた自作の50CA10PPです。



3極管アンプで、パワーは30w。

音の細かさが1000Bと同じ位で、チェンバロだと音程によって歪っぽい音が出て来ました。

これなら1000Bのが良いです。