自作スピーカーシステム
2014年12月8日
追記
30cmウーファーと32mmハードドームツイーターの2ウエィシステムです。
製作は1973年で、少しずつ改造してますが、基本フォルムは変更してませんし、出来ません。
若気の至りでよくもこんなスピーカーシステムを作ったものだと思っています。
自作密閉箱 170リッター サイズ・680w850h500d 約90Kg(1個)
前面3角100R
板材 ラワン合板24mm厚
フロント・リアバッフル 24mm×2枚(48mm)プレスにて張り合わせ
フロント3角 ヒノキ115mm角材 角を丸めました(2S305風)
黒く塗ったフロントバッフル部分のサイズは
710mmH×450mmWで
箱の左右上側は音がひっかかる所はありません。
箱の補強等はダイヤトーンP610の密閉箱と同じですので
P610欄を御覧下さい。
最近の市販スピーカーで
B&WのPM1がバスレフながら箱の形状が似ています。
2013/02/25
まずフローリングの床は音の反射が大きいので
全てベージュ色のカーペットを敷き詰めました。
これにより特定の音の反射が少なくなりました。
但し、スピーカーの下は
フローリングの床に制振シートを敷き、
その上に30mm厚のアピトン合板を置いて
その上にスピーカーラックを置いています。
もう製作してから約40年も経過した箱なので、
最近のB&Wの箱のような強度はありません。
裏蓋を開けて吸音材を替える気力も体力もありません。
そこで以下のように箱に吸音材を施しています。
訂正 2014/05/01
裏蓋は厚さ10mmのピッチ入り制振材を貼り付け、
その上に厚さ25mmの波状ウレタン吸音材を貼りつけています。
箱の下面には波状ウレタン吸音材を貼っています
箱の上側はまずカーペットを張り、
約中央から後ろに波状ウレタン吸音材を貼っています。
まずウーファーの背面から出た音は
裏板に当たって振動し、裏板から音が出ます。
この音を制振材・吸音材で吸音します。
箱の下側も下板からの振動音を吸音材で吸音しています。
これはスピーカーから出た音が2次3次反射して戻ってくるのも
吸音させる意味もあります。
天板の吸音は、
スピーカーから出てくる音を吸音する意味もありますが、
フロントバッフルの延長や
天井からの反射音
との吸音とのバランスもあり試行錯誤しました。
これによりスピーカーからスムーズに音を出せるようになってきました。
特注ラックにもフェルトを貼って特定の音の反射や振動音を減らしています。
ラックの左右のクロス補強板が中低音で振動するので、
30mm×30mm×450mmの角材を
対角にインシュロックで縛りつけて
振動を減らしています。
これにより中低域の音の残響が激減しました。
箱の横の
ウーファーとツィーターのスピーカー端子と、
そこに取り付けてある各リアクタンス補正部品と、
スピーカーから出た音との反射や共振を減らすために
フェルトで覆いました。
最近は年に10回程は吹奏楽やオーケストラ等を録音しています。
この音源の音場をなるべく正確に再現するには
なるべくスピーカーから出る音があちこちで反射しないように
また、特定の音域で共振しないようにしないといけません。
そのため試行錯誤しながらこのようになってきました。
部屋やスピーカーに吸音材を敷き詰めると音が死ぬという
オーディオ初心者がいますね。
その方は当方のように
大編成の音楽を録音して再生するという事を実践していない方です。
吸音すると力強い楽器の音色が出ないのは
音源やアンプ・スピーカーが貧弱ですよ。
はっきり言い切ります。
こんな40年前の自作箱の国産のスピーカーユニットで出せますからね。(笑)
2014/12/08
自作スピーカーのネットワークの点検
4−5年ぶりに自作スピーカーの
インピーダンス補正とネットワークの定数の点検を行いました。
1.ウーファー
ウーファーの低域共振周波数は動いてはいなかったですが、
インピーダンス補正値を厳密に調整して
本来は30オームまで持ち上がるFcでの持ち上がりを8オーム程度に抑えました。
リアクタンス補正も今までは過剰に補正をしていたので、
ほぼインピーダンスが200KHzまでフラットになるように厳密に修正しました。
2.ツィーター
こちらはほぼ変動はなく、
過剰ぎみであったリアクタンス補正をなるべくフラットになるように厳密に修正しました。
3.リアクタンス補正用カバーを外す
今まで自作箱の横に取り付けてあるリアクタンス補正の部品に音が当たって少々うるさかったのと、
左右2本ずつマレットを持って演奏されたマリンバの音が出にくかったために
リアクタンス補正部分にフェルトにてカバーをつけていました。
ところが、最近録音したモーツァルトの交響曲34番にて、
再生時にどうしてもコントラバスの音が先に聞こえます。
録音時にはそう聞こえなかったので、なぜかと思っていました。
リアクタンス補正用カバーは丁度ウーファーの真横にあたり、
ウーファー帯域の音を主に吸音します。
そのため音のバランスが狂って聞こえる可能性を考えて外してみました。
そうしたらほぼヴァイオリンとコントラバスの音の出るタイミングが合いました。
但し、音の反射によるウルササが出ています。
そこで、一番音の反射が大きい抵抗に
1つずつフェルトを貼りながら音を出して調整をしました。
ある程度のバランスの音になりフェルトを貼るのを止めました。
過剰に貼ると出にくくなる音が出てきます。
5.ウーファー・ツィーター用の低域共振補正
ついでにウーファー・ツィーター用の低域共振補正の抵抗にも
フェルトを貼ってみました。
明らかにウルサイ音が減りましたが、
過剰に貼ると音の表情が出にくくなるので、
色々なジャンルの録音音源を鳴らして調整しました。
特に国立市の一橋大学内の兼松講堂にて行われた
モンテヴェルディの「聖母マリアの夕べの祈り」の録音での
テノールとソプラノの声質を聴きながら最終調整をしました。
6.スピーカースタンド
以前からスピーカースタンドのX型の補強部分に
垂木をインシュロックで縛って中低域での共振を減らしています。
以前は縛っているインシュロックの本数は数本でしたが、
中低域での解像度がなかなか向上しません。
そこでインシュロックの本数を3倍に増やした処、
中低域の解像度が劇的に向上して全くブーミーさが無くなりました。
ウーファー・テクニクス30PL100
1973年当時
1本
定価86,000円
コーン有効直径246mm 最低共振周波数18Hz(実測24Hz)
Qo=0.35 能率93db/m 実効質量 53.4g
磁束密度6,350Gauss
総磁束580,000Maxwell
重量15Kg
10cm径ボイスコイル
アルミボビン
磁気回路のプレート巾20mm
ボイスコイル巾6mmのショートボイスコイル
珪素鋼板使用のラミネートコア磁気回路(特許)
有孔ポールピース
ダブルダンパー 3層コーン紙
ウレタンフリーエッジ(未だ朽ちません)
歪率 0.07%〜0.2%(50〜2000Hz) 最大入力100W
現在でもここまで手が入っているウーファーは少ないでしょう。
これが国産の40年前のウーファーです。
現在の高性能ウーファーならこれ以上の性能が当然でしょう。
そのハズでしょうね。うん?
Fc=35Hz Qc=0.5 (エンクロージャーに装置した時の数値です)
臨界制動ですので、無限大バッフル時35Hz−6dbとなります
これは保守用に中古にて最近購入しました。
後ろからですとマグネットアセンブリーでコーン紙が隠れます。
当方が現在使用しているものは
コーン紙をマジックインキにて黒くしています。
ツイーター・テクニクス18KH01
1973年当時
1本
定価29,000円
口径32mm イコライザー付き 高域限界周波数40KHz Fc=500Hz(実測700Hz)
Qc=1.1(実測) ダブルダンパー
磁束密度15,000Gauss 総磁束150,000Maxwell 重量3Kg 能率94db/m
最大入力40W
これも振動板のサイズから言うと3kgもあるのでドライバーみたいなものです。
このユニットは友人から譲ってもらったもので、
1個のイコライザーに欠けがあります。
各スピーカーユニット・インピーダンス補正済
ウーファー:(30.8μF+7.5Ω)+(24.4mH+860μF+10.6Ω)
ツイーター:( 2.2μF+7.5Ω)+( 2.7mH+ 14μF+ 10Ω)
この補正後にクロスオーバーが1KHzの12db/octのネットワークを組んでいます。
ウーファーのLPF
2.2mH+10μF
ツイーターのHPF
11.85μF+1.2mH
この場合800Hz付近でインピーダンスが15オームとなるので、
0.68mH+50μF+10オームの直列共振回路を
スピーカー端子のプラスとマイナス間にパラレルに挿入しました。
下のグラフが10Hz−100KHz間の
インピーダンス補正を行ったウーファーとツイーターを
ネットワークに接続した時の実測インピーダンスです。
2009年の10月に上記のインピーダンス特性を測りましたが、
最近録音した吹奏楽やドラムソロ等を頻繁に掛けるので
ウーファーのFcが35Hzから30Hzに低下し、
ツイーターもFcが750Hz前後から550Hzくらいに低下しました。
そのため再度補正を修正後のインピーダンス特性です。
スピーカースタンド:Fe 40L×5t 700w500h500d
1個 約30kg
周波数の測定を行いました。
この古い自作スピーカーは結構な表現をする事が判明しました。
密閉箱なのでドラムのパルシブな音の収束は一番良く、
30センチの2ウエイでクロスオーバー周波数が1KHzというハンディながら
チェンバロの音のトランジェントや音色やハーモニーの表現は
このスピーカーでマイクや録音機器を開発してきたおかげ?でこれも一番良く出ます。
特にJ.S.Bachの2台のチェンバロのための協奏曲BWV1061のように
2台のチェンバロが同時に演奏した場合の2台毎の音色とタッチの判別が明瞭に出来ます。
これは簡単には出来ません。
ノーマルの1本50万円以上の3ウエイ以上のスピーカーでも難しいです。
つまり本当に分解能の高いスピーカーは少ないですね。
HS-400よりもニュアンスの表現は上で、昔はHS-400のが上だと思っていましたが、
インピーダンス補正を厳密に行い、ネットワークの素子を良くしましたら
上まってしまいました。
特に1KHzから40KHzまで担当する32mm径のツイーターの中高域のトランジェントは
なかなかの物だと思います。
(勿論古い機器ですので限界もありますが・・・。)
特に特筆すべき事は音質は決して素晴らしい音では無いですが、
録音した音源とマイクとの距離感や録音した部屋の響き、マイクやセッティングの癖をはっきり出します。
つまり全ての音はスピーカーユニットより後ろに音が広がります。
又、録音状態によっては左右のスピーカーの外側にも音像を結ぶ時もあります。