入手した
SoundCraft Spirit Live4
 ミキサー


2015/03/19 追記




サウンドクラフト製の古い16chアナログミキサーです。
94年製ですから20年前の製品です。(骨董品?)


人間が古いので
(還暦は既に過ぎました)
デジタルミキサーでのパンやイコライザーでの音に違和感(
時分割処理)を感じるため
あえてアナログミキサーです。

違和感を感じない(
そこまで再生出来ない装置の)方は
機能が豊富でノイズが少なくスピードの遅い!デジタルミキサーのが良いでしょう。






モノラルin12ch,ステレオin2chで入力合計16ch

出力はAUXが5ch,グループOUTが4ch、LRout

LEDメーターの最大値が+6db(+10dbu)なので、
自作A/DコンバーターやVSR−880HDDレコーダーの最大入力電圧と同一です。




この外部電源より三端子レギュレーターにて+−15V1A,
ファンタム用+48V0.1Aを供給しています。

自分仕様に改造するので
このあまりにひ弱で混変調の起き易い外部電源は使用しません。
(一般的には普通の電源ですが)


コネクターを取り替えて
いつもの共通強力電源を使用します。





イコライザー部です。

LowFrequencyではカットオフが40Hz−400Hzまで可変、

MIDFrequencyではピーク周波数が250Hz−8KHzに可変、

HighFrequencyは約20KHz
をー15db〜+15dbまで可変が出来るので、

マイクロフォンの周波数特性の癖を直す事が出来ます。





ミキサーを裏返して裏蓋を取った処です。

各入力チャンネルや出力チャンネルが整然と1枚基板になっていて、
バスコネクターにて繋がっています。






フェーダーはアルプス製の100mmフェーダーで10KΩAカーブです。
普及機ですから高級なフェーダーは使用していません。

但し、シールドがしっかりしているのと、
抵抗部の熱がシャーシに伝わるように対策されているので
熱損失は大きいです

そのためDレンジは広いでしょう。





フェーダーへの配線が裸ですからクロストークが大きいので、
シールド対策が必要です。






各モノラルin基板に使用されているオペアンプはTL072が3個で、
マイクin部には高Hfeのトランジスタが2個使用されています。

ステレオin基板にはTL072が3個ずつで6個

各グループout基板にはTL072が2個 NE5532が2個
各AUXにはNE5532が1個ずつ

OUT基板にはNE5532が4個とTL072が3個

確実ではないですが、
TL072(13V/μS)が合計53個程
NE5532(9V/μS)が13個程
使用されています。


SounTracsのミキサーもマイクヘッドアンプ以外は同様で、
ヤマハのMX12/6はNJM4580(5V/μS)とNE5532です。



デジタルミキサー等のアナログの入出力回路は
ノイズが少なく出力電流(MAX.50mA)が大きく取れるNJM4580ばかりでしょう。
RMEのFireFace400もNJM4580ばかりです。

そのためノイズと歪は少ないですが、
残念ながら吹奏楽のような複数の楽器が一斉に鳴り、空間音の多い音源では
回路スピードが遅いので
混変調を起こしたり細かい音のニュアンスやハーモニーが出せません。


そのため音数が減って混変調が少ない
マルチトラック撮りでのマスタリング編集になります。

但し、2chにして再生した場合はこの限りではありませんが・・。


低域は厳密には測定していませんが、
20Hz−3db位
高域は
50KHz−3db
全く延びていません。

この値は
SoundTracs FMEシリーズのミキサーも同じですから、
他のミキサーもほぼ同じ周波数特性でしょう。

いつもの改造ミキサーのように
200KHz−3db程度
にはするつもりです。
低域も
1Hz−3db程度
にはしたいですね。


普通の機器ですと
これだけ低域を伸ばすと
電源回路が弱く、各chと共通ですので
混変調が起きて音が不明瞭になり安定しませんが、

各セクションごとに強力電源を施すと安定したクリアーな音になります。


各セクションの基板を外して回路を見ながら自分仕様に改造します。


電源回路も各セクション事に定電圧電源にするか、
4モノラルセクション毎と、
グループアウト、LRと
合計5個の超高速定電圧電源を入れるか考案中です。


両手で簡単?に持ち上げられる重量ですが、
まだ重量があるので、
外せる外装を外して軽量化します。




2013/10/13

軽量化のため
シャーシの左右とフロント部分のサブシャーシを外しました。






やっと内部に5組の2段カスケード定電圧電源を組み込みました。






+48Vのファンタム電源基板は未だ製作していませんが、
4個の出力フェーダーの上に設置します。



これからまず出力基板の改造です。
残念ながら平衡出力回路のはずが不平衡接続なので
新た別基板を入れて平衡回路にします。

流石に機能の割りに安価なミキサーです。


まだSoundtracsの安価なミキサーのが
機能は少ないですが回路設計が良いですね。



2013/11/16




LR出力基板と、Group out基板、Stereo基板を改造しました。 




手前がLR出力基板です。
LEDのメーター回路とヘッドフォンアンプ、トークバック回路も有ります。

ヘッドフォンアンプはOPアンプにバッファー付きのDCアンプですから、
超低域の音の分解能が高いです。

XLR出力端子は平衡出力のはずですが、不平衡出力回路なので
平衡出力回路を取り付けました




上の画像は
左がLR出力、LEDメーター、ヘッドフォン出力アンプ基板
約中央が2個のStereo入力基板です。




上下の画像は4個のGroup out基板の表裏です。




Group Out端子も不平衡出力になっていたので、
回路を変更してこれも平衡出力にしました。


Stereo in基板からの入力で高域が1MHz−3db位になりました。




これから12枚のマイク・LINE イン基板の改造です。

平衡ー不平衡入力回路の変更を考えています。


2014/01/16





モノラルイン基板のアンプです。

左側が改造したch、右側がノーマルです。


ヘッドアンプ部は

ノーマルは平衡のトランジスタ入力でTL072に入れて
ボリュームコントロールで音量を変更しています。
但し、
ローカットのカップリングコンデンサーの段数が多いので
低域の位相回転が大きくて
音の出だしが出ませんね。



改造は
1.
トランジスタの平衡入力回路を廃止して
LM4562またはLM6172の平衡入力回路に変更し、
LINE入力とMIC入力の切り替えスイッチを廃止しました。

切り替えスイッチを廃止しても
LINE入力ソケットにショート回路がついているので、
ノイズの混入はありません。

2.
OPアンプ部分はソケットとして交換出来るようにしました。

これにより
ヘッドアンプのS/Nやノイズは
ヒアリングしながら交換して減らして揃える事が出来ます。
また、将来により高音質のOPアンプに変更が出来ます。

3.
100Hz18db/octのハイパスフィルタースイッチは
当方では不要です。
不用意にON/OFFしないように廃止しました。

4.
各部の1/4Wの抵抗は100KΩ以上と75Ω以外は
全て
3Wの金属皮膜抵抗としました。
電力損失が大きいので音の伸びが全く違います。

交換個数は1基板で39個、
12基板で468個!となります。
費用が大変です。

5.

電源コンデンサーは各基板に4000μF×2ずつ入れていますし、
オペアンプ毎に0.1μFのセラミックコンデンサーを
プラスマイナス電源に接続して
発振を防止しています。



これにより分解能の高い音になります。




2014/01/20


ほぼ完成です。









上記の画像では
未だサンケンCMS−2 MSマイク用のファンタム電源用コネクタの配線はしていませんが・・。





+48Vのファンタム電源は
各モノラルchごとにON/OFFが出来るようにしました。


贅沢な部品を惜しみなく投入し、豪華な電源回路なので、
音質は今までのミキサーとは別物です。


高域特性は
Group OUT端子から5.1Kオーム×2(バランス受け時)の抵抗負荷時で
MICゲインが
−20db時で1.4MHz−3db,
ー30db時で1MHz−3db
−50db時で約500KHz−3db

低域は0.4Hz−3db(共通)

これでも全く薄い音にはならず厚いなめらかな音です。


ミキサー本体の周波数特性が
マイクの周波数帯域より上下に10倍は広いので、
グライコを使用してマイクの補正をしても
違和感のある音にはなりません。

デジタルで処理をすると、
アナログからデジタルにする時に帯域制限(20Hz−40KHz)をするので、
どうしても帯域制限をした音と、

グライコやパンを使用した時に
時分割処理をした音がついて回りますね。

このミキサーでは圧倒的に広い帯域で、
A/Dコンバーターの帯域制限前に音の処理をするので
違和感がしません。


2014/01/25







ミューザ川崎 シンフォニーホールにて
オーケストラを録音しました。
あいにくミキサーのモニターヘッドフォン端子の調子が悪くて
聞けなかったので
HDDレコーダーのモニターアンプからモニターしました。

(帰宅して裏蓋を外した処、ヘッドフォンの接続コネクターが外れていました)


ホールの音響の方に聴いて頂いた処、
「柔らかくて、位相の良い音だ」
「とても48KHz24bitの音とは思えない抜けの良い音」
というコメントを頂きました。



2014/09/19

最近、どうも録音時にヘッドフォンモニターのLchが
聞こえたり聞こえ無くなったりして調子が悪いので、
モニター回路の基板を外してみた処、
サブ基板に行くコネクタの端子が黒くなっていました。

そこでこのコネクタを金メッキ端子と交換してみました。

それと、ソニーのモニターヘッドフォンを接続し、
ヘッドフォンレベルとマスターレベルをMAXにするとバズが出ています。

なぜこうなるかと考えて、
5ブロックの定電圧電源回路と、
+48Vのファンタム電源用の定電圧電源のアースを
全てシャーシにベタアースしてみました。

また、アースバスと各基板のアースとの間に各々10オームの抵抗が入っています。
この抵抗も全てショートしました。

そうしたらやっとバズが取れました。

いくら電源トランスが外部にある別電源でも、
本体内部のアースループには気をつけないといけませんね。


2014/10/15





ノイズを低減させるために信号バスラインに銅のシールド板を貼り付けました。


2014/12/26


今まで
4つのGroupOut1つの定電圧電源で電源を供給していました。
そのためどうしてもセパレーションが悪く感じたので、
もう1つ定電圧電源を製作して

Group1,Group3,に1個の定電圧電源
Group2,Group4,に1個の定電圧電源

とに別々に電源を供給するようにしました。





空間がもう無かったので、ファンタム電源用定電圧電源の横に取り付けました。





これによりGroupOut端子での左右のセパレーションが良くなりました。


2015/03/19 追記

書き忘れていましたが、

マイクヘッドアンプの負荷抵抗を
1KΩから2.2KΩに変更しました。

理由は、

C47マイク
は信号をマイク本体から不平衡で
マイク電源に送り、
マイク電源内部にて
4:1の巻き線のマイクトランスで
平衡信号にしていました。


これを不平衡信号のままミキサーのマイクヘッドアンプに入れたかったので、
マイクヘッドアンプの負荷抵抗を
1KΩから2.2KΩに変更しました。

これによりマイクトランスを外した事により
低域の位相特性が劇的に良くなり、
またゲインも向上しました。

良い事ずくめです。





2015年3月15日
知多市地域文化センターホールにて