M氏邸のリスニングルームの紹介
2019/03/08
音楽の友社出版の2017年Stereo誌5月号に掲載されました。
オールALTEC・壁バッフルスーパーウーファーSystemです
概要
1.部屋の寸法
リスニングルーム 30畳
バックスペース 20畳
天井高 4.5m 三角天井
部屋は床・壁・天井は全て2重構造になっていて浮かせてあります。
2.スピーカーユニット
★ ウーファー ALTEC515B 16Ω×4パラレル=4Ω 壁バッフル
壁バッフルは鳴き防止のため漆喰壁になっています。
Backチャンバー 20畳
Qc=0.42 Fc=18Hz(実測)
※(実測インピーダンス特性表)と壁バッフルの詳細写真)
アルテック515Bユニットは
確かに自由空間ではFoは約25Hzですが、
ここのようにユニットの前後が約30畳20畳という閉じられた空間で仕切れらて
前後に空気負荷が加わっています。
その場合コーン紙は等価質量と、
コーン紙の面積の表裏にかかる空気の質量が付加されるので、
等価的なコーン質量が増えます。
そのためFcが18Hz(実測)と低下しています。
この事を知らない方(出会った事が無い方)が
色々と論じているようです。(笑)
★ Mid・High ALTEC 604−8G
タテマツ音工製S&Hメープル板使用230リッター密閉箱
Mid Fc=46Hz Qc=0.54(実側)
エンクロージャーの形状の設計は
確か和田特機の和田さんです。
※(604−8Gの実測インピーダンス特性表とラジオ技術からの資料)
3.クロスオーバー
◆ 144Hz
◆ 1kHz
12db/oct −6dbクロス
当方が製作した専用チャンネルデバイダーにて
位相補正回路を挿入して
チャンネルデバイダーでの合成位相特性を
フラットにしてあります。
4.周波数特性補正
★Altec515B×4発+壁バッフルにて
ウーファーが壁バッフル時Fc=18Hz,Qc=0.42(実測)
とオーバーダンピングなので、
壁バッフル時に
18Hz 約−7db程度に低下します。
そこで
20Hz+6db、10Hz+12dbのローブーストを行いました。
そのため約20Hz位まで周波数特性はフラット、
10Hzでー3db程度となります。
そのためFc以下の10Hzも再生が出来ます。
★604−8GのHFホーンが
特性表上、15KHz以上が急激にHigh下がりなので、
20KHz+6db、40KHz+12dbのハイブーストを行いました。
そのためほぼツィーターの必要はありません。
5.各ユニットのインピーダンス補正
全てのユニットのインピーダンス特性を計測して、精密なインピーダンス補正を行いました。
※全体のシステム表 を参照。
これにより各スピーカーユニットのピストンモーション範囲での
位相の回転が少なくなるので、
逆起電力が大変小さくなり、
駆動するアンプの負担が減って歪が大変少なくなりました。
良くマルチアンプシステムではインピーダンス補正は要らないという
素人がいますが、
実際に実験をして、音質の変化・音の出方の変化を
確認した事が無い方ですね。(笑)
6.アンプシステム
イ)
チャンネルデバイダー兼プリアンプ
(MC/MM用フォノイコライザー組み込み)
以前はAGI511プリアンプの外装を利用して
プリアンプ兼チャンネルデバイダーを組み込んでおりましたが、
経年変化にて
スイッチ類やRCAコネクター・チャンネルデバイダーの時定数コンデンサーが
劣化してきましたので、
新たに製作致しました。
シャーシはロマネスクプリアンプのシャーシを使用しています。
電源は外部電源として300VAのRコアトランスを特注しました。
ロ)
Mcintosh MC2300
MC2300専用にAC120V用トランスラインを用いています。
Mcintosh MC2300パワーアンプは
当方にて増幅回路の殆どを改造しております。
上記の画像の右中の3個の箱の中には
63V120000μFの電解コンデンサーが各4本
入っており、
各MC2300の出力電源部に接続されております。
このコンデンサーにより音がより安定して静かになりました。
現在もう1台入手して新たに改造しています。
そして全て新たにより高度な改造を施す予定です。
※(MC2300改造状況)
このアンプは今までの改造品より遥かに音の立ち上がり下がりが速く、力があり、
音が前に出てきてより前後左右の遠近感があります。
7.音質
★ローブーストによりFc=18Hzの約半分の10Hz位まで出ますし、
大変ダンピングが効いているので、軽い風の様な低音が出ます。
それとスピーカーユニットが同一メーカーなので、音質が均一です。
★インピーダンス補正がしっかり精密にしてあるので、
急激な位相回転が少なく
嫌な引っかかる音が全く無く、柔らかな音です。
★チャンネルデバイダーに位相補正回路(APF)を入れているので、
各クロスオーバー付近とそれ以外の周波数でのチャンネルデバイダーでの位相が全く同一です。
(各ユニットの位置関係を除く)
クロスオーバー付近の音質が試聴位置を前後させても変化しませんし、判りません。
★高域は高域補正で持ち上げているので、高域不足は全く無く、スーパーツイーターは不用です。
★アンプは電源回路及び増幅回路の改造により遠近感とハーモニーが良く出て、ダイナミックレンジが向上しました。
★能率の高いスピーカーとハイパワーアンプとの組み合わせで、ほぼ生に近い音場が再生出来ます。
8.
SACDプレーヤー
マランツ SA7t
2007年6月にマランツSA7tcwを導入しました。
但し特別仕様として
アナログ回路の電源に400VAのトランスを投入し、外部から供給するようにしましたので、
音がより静かにかつ安定した音となりました。
2014年6月5日
このSACDプレーヤーのDAC部とアナログ回路部の電源回路を変更しました。
DACチップのアナログ電源部と、
DAC以降のアナログ定電圧電源をLR別にしました。
それと定電圧電源回路のスピードを今までより2桁速くしました。
このためセパレーションが大変良くなり、
電源部でのLR信号の混合により出にくかった前後左右の遠近感が出てきました。
この音の変化は大変大きいものです。
2013年8月24日
高級オーディオを長年やっている方々としては
マッキンMC2300とアルテック604−8G・515Bという
通り過ぎた過去の古い陳腐な機器(笑)が
現在の新しい機器より数段上の
遥かにクオリティの高い音を出している現実があります。
ここの音を聞かれた近辺の方々には大変な反響が出ていて
ウエスタンやジーメンス等を所有されている方々が
「どうしてこういう音が出せないのか」
という理由探しの七転八倒の苦しみと
絶望感が漂っているようです。(笑)
所詮ヴィンテージの真空管アンプのパワーでは
しっかりした電源と高速電源回路と最新のアンプ回路で
再構築された300W/ch×2のMC2300
×3台の合計1800Wの前では全く非力です。
それとスピーカーユニット・スピーカーシステムの測定をして
それに対応した補正を入れたシステムで無いと
「こういう音」
が出せないでしょう。
所有者のお話では
某自動車会社の中央研究所の方が挑戦されて
「簡単にこの程度の音が出せるだろう」
と豪語されたようですが、
2−3年かかっても結局
「この程度の音」
が出せなくて挑戦を止められたようです。
所詮
新しいだけの機器や、部品が良いだけの機器を入れ替えても
根本的基本的に進歩しているわけではありません。
それを見極める力の無い方々がいくら投資しても無駄かと思います。
そこの機器に合わせた設定と調整を根気良くするだけです。
現実に鳴っている音を聞かれると納得するでしょう。
先日、いつも録音に一緒に行って頂いています2名の方々と
一緒に訪問しました。
まずモーツァルトの交響曲を聴いた処、
ほぼ現場でのマイクの位置で聞こえる音がしました。
また、当方も含めて3名一緒に録音したオーケストラの音源をかけた処、
ほぼ現場と同等の音と音場が出てきました。
そして当方では聞こえなかった音が聞こえてきたのにビックリしました。
これはホールの後方からのノイズが定位して聞こえてきました。
M氏邸のリスニングルームのグラウンドノイズが低いのと、
中低域以下の分解能が高いためです。
14/10/30
今まで左右の515B×4本(合計8本)を1台のMC2300で駆動していました。
MC2300の場合、電源トランスは1個ですが、
パワー部の電源回路は左右別の巻き線で整流し、左右別の電源コンデンサー(39000μF)
から電源を供給しています。
但し、超低域では電源トランスが共通なのでどうしても音が左右の中側に寄って出ます。
そのため今回は予備のもう1台のMC2300を動員して
MC2300を左右のアンプをパラレルとして600Wのモノラルアンプにしました。
その前に、
現在515Bを駆動しているMC2300のパワートランジスタは東芝製(2SD424)です。
予備のMC2300のパワートランジスタはモトローラ製です。
東芝製の場合、歪感が少なく音の立ち下がりが速くて音が前に出て来ます。
モトローラ製の場合は東芝製よりまろやかな音がしますが、音は遅いです。
そこで予備のMC2300のパワートランジスタを東芝製と交換しました。
左右合計24個です。
予め東芝製のトランジスタを100個入手してHfeを測定し、
ペアーを撮っています。
これで2台のMC2300を全く同じ仕様にしてから515B×4本を駆動しました。
音質は以前あった音の濁りが全く無くなり、超パワフルな音になりました。
144Hz以下の音の立ち上がり下がりが速くなると、
全体の音がより締まりました。
明らかに全体のイメージまでも変わったようです。
14/11/20
2台の604−8G用のMC2300のパワートランジスタは
未だモトローラ製でしたので、
全て東芝製に交換しました。
1つのヒートシンクに3個ずつ取り付けてあり、
1台に8個のヒートシンクですから24個、
2台で48個!です。
取り外し取り付けに手間取って
2台で合計12時間かかりました。
これで4台のMC2300のパワートランジスタが全て東芝製となり、
音質や音の出方が揃いました。
出てくる音は大変静かで木目細かくパワフルです。
とてもアルテックの38センチユニットが
合計10本鳴っている音とは思えません。
まるで左右1本ずつの
フルレンジユニットが鳴っているような音です。
これは多数の方々が聴かれて
確認をしています。
15/09/26
アキュフェーズのチューナーの下の箱に
プリアンプ兼チャンネルデバイダーの電源部に
10万マイクロファラッドの電解コンデンサーを
合計4本増設しました。
これにより音の立ち上がりが鋭くなり、
より遠近感が出るようになりました。
今までアナログプレーヤーをプリアンプ兼チャンネルデバイダーに接続していなかったので、
左側のガラード401ターンテーブルと
東京サウンドのオイルダンプアーム
テクニクスの100CMK4カートリッジ
を接続してみました。
右側は当方所有に
テクニクスSL1200MK3と
デンオンDL−103
を取り付けて
接続しました。
さすがにテクニクス100CMK4は
音が細かく、CDに近い音がしています。
16/08/14
壁バッフルのアルテック515B×8本の
リコーンと着磁を行いました。
17/03/02
アルテック604−8Gの
リコーンと着磁
2018/11/08
アナログプレーヤーが増えて4台となりました。
プリアンプ兼チャンネルデバイダーも新たに製作しましたが、
その時にフォノイコライザーを3回路としました。
現在アナログプレーヤーが4台あるので、
1回線は切り替えて使用しています。
残念ながらプリアンプ兼チャンネルデバイダー内部には
もう1回路フォノイコライザーを増設するスペースが無いです。
前の黒い箱の下にベリンガーのSRC2496チューンがあります。
マランツのSACDプレーヤー SA7から
光ケーブルで接続してDACとして使用しています。
音質はSA7よりノイズフロアーが低く
音の粒たちが鮮明で、
遠近感も良く出ます。
2019/03/08