スピーカーのチューニング
21/08/07

なぜスピーカーチューンをするのか?

市販スピーカーは色々な音源を再生してある程度再生出来るように調整されています。

ただその音源がくせもので
その時の
デモ用音源が綺麗に鳴るようにしているようです。
ですからどうしてもデモ音源以外の音源に対しては追試がされておりません。

その場合には
その会社が
リファレンスとしているスピーカーと同じように鳴るようにしているようです。

大体のデモ音源は
ソロボーカルと独奏楽器のベース、ドラム、ピアノが多いですし、
ソロヴァイオリンと伴奏ピアノのものも多いです。

ですから当然市販スピーカーは独奏楽器のソロやボーカルには強いのですが、
吹奏楽やオーケストラ・チェンバロ・ピアノのような
複数の音が一度に鳴る音源には
追随出来ず濁って聞こえにくくなっています。



それと少なからず色々な癖を持っています。

低音がダブついたり中音がカンカン言ったりツイーターが煩かったり等色々あります。

又、2ウェイ以上の場合は
各スピーカーユニットの音の出方がバラバラに表現しています。
たとえばボーカルとドラム・ピアノと比較して
ベースもほぼ同じタイミングで演奏していますが、

市販スピーカーですとベースが遅れ気味に聞こえます。

又、吹奏楽の全員合奏の音が一体として聞こえません。

市販参考音源としては
「精華女子高等学校吹奏楽部」の
「挑戦!ブラバン女子」

を御聞き下さい。

演奏は折り紙つきの上手さです。



スピーカーチューンは
まずインピーダンス補正によって
電気的にスピーカーユニットの癖を摂り、
ネットワークの定数を変更します。


そして独奏楽器の表現は勿論、
吹奏楽のような複数の楽器が合奏したり、
ピアノやチェンバロのような
同じく複数の音が一度に鳴る音を
分離させながら融和するように
音の出るタイミングを合わせます。


この場合、
「好みの音」
という概念が入る余地はありません。




こういう意見もありますね

「チューンアップが良ければメーカーがやるはず、
よくないのでメーカーが止めたんであって

チューンというのは 
元々メーカーがいいと思ってやってたのなら続けるはずなのに
それがよくないと分かり

メーカーがチューンをやめたのではないか ?

チューンしたものは本来の音でないので、
メーカー本来の音、音色をたのしみたい」

という方もいらっしゃいます。


メーカー本来の音色というのは
あくまで
メーカー本来の音色であって

音源に入っている
「楽器の音色やホールの音色」
ではありませんね。




ウエスタン、アルテック、JBLは
メーカーの音色という考えは毛頭無く、
各企業の技術者がより生に近い音を出すために
スピーカーを開発していました。

そのためここのスピーカーは現在でも1級品で通用します。




メーカー本来の音、音色
というのは
結果として出るのであって、
本来は
「より生に近い音の出方や楽器の音色」
出すスピーカーが本当です。


残念ながらメーカーは
「生に近い音の出方や楽器の音色」まで出せる方がいても
その技術が伝承されておりません。
テクニクスがその例ですね。

「元々メーカーがいいと思ってやってたのなら、続けるはずなのに」

というコメントは企業という組織を知らない方の発言です。(笑)


色々な楽器の音(特定の楽器だけでは駄目です)を
聴いたり録音もしていない技術者が最終調整して

メーカーの音色を出すスピーカーが作れても
メーカーの音色を持ちながら
「より生に近い音の出方や楽器の音色」を出すスピーカーを作れません。
企業というのはそういう組織です。



当方のチューンの方法は
日立Lo−D,テクニクス、三菱ダイアトーン、パイオニアが
積極的に使用した
インピーダンス補正という技法に
(KEFやアルテック、タンノイやフォステクス等のメーカーも使用しています)

当方が取得した生録での楽器の音色や音の出方、
ホールの音やアンサンブルの音を参考にして

生に近い音の出方をするスピーカーに仕上げます。




方法


元々ムービングコイルスピーカーユニットは

エンクロージャーに入れた状態でも
     低域共振とボイスコイルのリアクタンスにより周波数によってインピーダンスが異なります。
     これは低音用中域用高域用スピーカーユニットでも同じ事です。



    バスレフエンクロージャーの場合は
ウーファーユニットの低域共振が2個となり、
     見かけ上低域が伸びて音圧が稼げますが
トランジェントが悪くなります。



     ホーンユニットの場合は
ホーンの低域カットオフ周波数付近で大きなインピーダンス共振があり、
     かつ振動板の固有共振とボイスコイルのリアクタンスが絡んできます。

     そのため中域ホーンユニットの場合能率の高い迫力のある音がしますが、
     ホーンのカットオフに近い音が入ると
違和感のある鼻を摘んだような音になり易いです。



当社のチューンはまず
スピーカーユニットのインピーダンスを測定して、
補正回路を付加してなるべくインピーダンスを平坦化します。
その後、平坦化したインピーダンスを基準にしてネットワークを再構築します。


内部配線やコイル、コンデンサー等は相当傷んでいる場合以外はなるべく使用します。
そうしないと本来のそのスピーカーの持つ良いキャラクターをスポイルしてしまいます。
特に内部配線はなるべくノーマルを使用します。
音が良くなるであろうと内部配線をより高価な配線材料と交換する方がいらっしゃいますが、
相当な技量の持ち主でないと良くも悪くも全く異なる音色になる可能性が高いです。

スピーカーチューニングの途中、
良く聴いているチェンバロや、当方が録音した音源が判っているもの(チェンバロ、吹奏楽、ジャズ、雅楽等)
を鳴らして各ユニットの音量や音色・クロスオーバーのバランスをとります。

チェンバロは大きい音は出ませんが、調整のしっかりした楽器ですと
62鍵(5オクターブ超)の2段鍵盤の上のキイから下のキイまでなるべく同等の音色と音量で聞こえるかをチェックします。
キイの位置により楽器の響き方が違いますのでこれもチェックします。
これは楽器の調律と調整(チューニングとメンテナンス)と全く同じです。
この辺は測定器だけでは出来ない処です。



効果


スピーカーユニットのインピーダンスを補正回路を付加して平坦化する事により、
スピーカーユニットの起電力を補正回路が吸収します。

(よく逆起電力とおっしゃる方が多いですが、
MJ無線と実験誌元編集長・中澤弘光さんより
起電力」であるとの御指摘があり、
それ以降は起電力と評しています。)

そのためネットワークやアンプにスピーカーユニットの起電力が注入するのが少なくなり
混変調歪みが減少してスッキリした音になり、距離感や音離れが良くなります。 
マルチウエイスピーカーではいかにもマルチウェイであるという感じの
各ユニットがバラバラに聞こえるシステムが多いのですが、
上記のチューン等によりフルレンジの様に一体化して聞こえる様になります。




スピーカーユニットにインピーダンス補正を行うと
「そのスピーカーの良さ?をスポイルする」
という方がいらっしゃいます。
確かに音源やCDP・アンプのグレードが低い場合(笑)に
ハッキリした音よりフワッとした平面的な濁った音が良いと思われる方もいらっしゃいます。
それはそれでも良いでしょう。

ところが音源等のグレードが向上してきますと表現の限界が見えてきます。


元々のクオリティの低いスピーカーユニット(必ずしも価格には比例しません)に
しっかりとインピーダンス補正を行いますと
元々のクオリティの低さが暴露しますし、
(振動板やサスペンションの歪み、磁気回路の弱さ、高域のピーク等)
リアクタンス歪みも利用計算して音作りをしてあるスピーカーもあります。

(特にフルレンジスピーカーはコーン紙の分割振動とリアクタンス歪みを利用して高音を出しています)
ソフトドームユニットは振動板の剛性不足が露呈してしまいます。


例として古くても元々のクオリティの高いアルテックA5や604−8G・604−8H,
JBLのS8シリーズ(LE15A+375+075)や4343、
B&WのM801やM802シリーズは
しっかりインピーダンス補正をすると
元々のクオリティの高い音がより歪みの少ない細やかなDレンジの広い素晴らしい音になります。

現代のクオリティの高いスピーカーは初めからある程度インピーダンス補正は施してありますし、
(古くはテクニクスSB1000等、
B&W Nシリーズ、Sシリーズや
古くは日立のHS−400,HS-5000、HS10000等)
はリアクタンス補正を初めから磁気回路に組み込んであります。



ある方が

テクニクスやローディはそんなに良いなら
もっと評価されているはずですから、
単に物理的に良くしても、
音楽再生に関しては次元が違うんだと思います。


とコメントされていました。


残念ながら
CDが出る前では
アナログレコードやテープの
音源の悪さまでを忠実に表現したので、
評判が良くはなかったです。

CDやDAT等の
デジタル音源が出るようになって、
良い音源を忠実に再生するので、
最近は再評価されています。




スピーカーは電力受動機器ですので
電気用品安全法による電気用品ではありません




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実績


1.B&W

2.Infinity

3.Rogers

4.Altec


5.JBL

6.Monitor Audio


7.Acustik lab Bolero 


8.Diatone


9.Spica

10.Lineam

11.Pioneer 

12.Taoc 

13.Dynaudio  

14.Tannoy 

15.Yamaha

17.DALI

18.Wilson System5

19.Kenwood


20.UREI

21.Technics

22.ATC

23.Harbeth

24.Klipton 

25.Sonus Faber


26.日立Lo−D
21/08/07

27.Goodmans