一発録音と録音機器
雅楽や吹奏楽やオーケストラ・打楽器を1回限りの記録録音(一発録音)をするために
マイクロフォン・ミキサー・A/Dコンバーター・レコーダーの改造や製作をしてきました。
原則として現場でミキサーでミキシングして2chで記録しています。
1.
録音用マイクロフォンは
主にソニーの1インチ径ラージダイヤフラム・コンデンサーマイクを10本と、
サンケンのMSマイクを使用しています。
イ)
ソニーの1インチ径ラージダイヤフラムコンデンサーマイクの特徴として
単一指向性時での指向性は狭くはなく
前後左右の音源の位置がはっきりと確認が出来ます。
これは同じソニーの3/4インチマイクでは出来ない事で、
左右のマイクの外側にオフセットされた音でも定位します。
これは位相特性が良い証拠です。
それとラージダイヤフラムなのに高域のピークが15KHz−18KHzと高く、
1KHzと10KHzや20KHzと音量が同じマイクがあります。
これは
C37P
と
C47
です。
どちらも30KHzでは1KHzと比較してー10dbです。
2本のC37Pと6本のC47はマイク出力トランスを使用せずに直にミキサーに接続するように改造しているので、
数Hzから30KHz以上まで感度があり、かつ位相特性も良好です。
ロ)
サンケンのCMS−2 MSマイク
は、
現在はMSマトリックストランスを使用していますが、
マトリックストランスを使用せずにやる方法もあるので実験をするつもりです。
このマイクもマイクトランスレスになると、
12本のコンデンサーマイクがマイクトランスレスになります。
このマイクは主にオーケストラの弦楽器の収録に使用しています。
2.
イ)
ミキサーは、
昨年まではSoundtracsのTopaz Macro
という14chミキサーを改造して使用していましたが、
内部が狭いので自作定電圧電源回路が3系統しか使用出来ず、
マイクアンプの高域特性も良く伸ばしても150KHz止まりとなり、音がどうしても抜けません。
(普通のアナログミキサーやデジタルミキサーの場合は約20Hz−約50KHzまでです)
それと出力回路が1系統とAUXのみで、複数のレコーダーを使用する場合は大変使い難いです。
ロ)
そこで良いミキサーは無いかと探した処、
モノラルイン12ch,ステレオイン2chの16chインプット、
出力が4グループアウトとステレオアウト、AUXが5系統の
SoundcraftのSprit Live4 16chミキサー
が目に止まって入手しました。
サイズは結構大きいですが、
重量が何とか10Kg程度になったので楽にあちこちのホールに持って行けます。
このミキサーを徹底的に改造して
外部電源から電力を供給して5個の自作定電圧電源を内臓し、
内部のオペアンプを超高速型に交換、主な抵抗を1/4Wから3Wの大型抵抗に交換した処、
マイクインからグループアウト端子間で0.4Hz−約1MHzという超広帯域になりました。
そのため大変音の抜けが良くなりながら超高速で音の消え方が速くかつエネルギーがあります
構造上クロストークは決して少なくは無いですが、残後左右の定位と音程によりホールに回り込む音の位置もハッキリ判ります。
低域を0.4Hzと超低域まで伸ばしたので、
パーカッションの叩く瞬間、ハープの弦を弾く瞬間、ピアノのハンマーが弦を叩く瞬間の音が再生出来るようになり、生と同じ音がします。
これだけ超低域まで伸ばしても超強化電源のおかげで全く音が濁りません。
モニターヘッドフォン部は
以前のミキサーではエレガのDR−631Cがベストマッチでしたが、
改造サンクラではソニーのMDR−900STとベストマッチになりました。
音の定位はDR−631C,音のバランスはMDR−900STですね。
DCアンプ回路なので超低域から音の分離が良く、
ティンパニーやバスドラを叩く音は、生の音と全く同じ音がします。
これは現場に来られた複数の方々に試聴をしていただいて、
ビックリされながら生音と比較して確認をしていただきました。
3.
イ)
自作のA/Dコンバーターは
ミキサーからの平衡+12dbm(3V)max入力にてフルビット0dbに合わせて製作しました。
これはRoland VSR−880の入力電圧と同一です。
現在は48KHz24bitのS/PDIF仕様のオプティカル(光)出力を2系統にしています。
現在使用しているRoland VSR−880の仕様が48KHz24bitまでなのでそうしています。
マスタークロックは24.576MHzの三田電波製の高精度発振器を使用しています。
1系統はVSR−880、もう1系統はWin7 64bitまたはWin8 64bitのPCに接続しています。
ロ)
吹奏楽の場合、
PCの録音ソフト Sound it!7.0の録音バッファーを予め大きくしておかないと
PCが処理出来ずにフリーズ
する場合が多々あります。
VSR−880はどのような場面でも一度もフリーズした事はありません。
50人以上の吹奏楽をPCにて
96KHz24bitで録音した場合でも全くフリーズせずに録音が出来るのでしょうか?
大変疑問です。
4.
最近ハイレゾブームです。
高域の伸びにこだわって96KHz―192KHz・DSDと多彩ですね。
でも、いくらフォーマットが良くても
マイクやミキサーが悪くてはまともな音が撮れません。
そしてA/Dコンバーターのアナログ回路や電源が貧弱だと
吹奏楽は雅楽・打楽器は撮れませんね。(笑)
吹奏楽やオーケストラの場合、録音しても
各楽器の位置や音色、音の出方がはっきりしないと音楽になりません。
吹奏楽の場合は
特にチューバの音の歯切れが悪いと、音が引きずってしまい音楽になりません。
オーケストラですと
コントラバス・ホルンの音が遅れて聞こえたり、
ハープの音が聞こえなかったりすると音楽にならないです。
市販のマイクやミキサーもローノイズ重視なので
素子の特性の関係で
ノイズ源の超低域がカットされてスカスカの音です。
音の頭が聞こえずに響きばかりです。
超低域が無いので空間定位が出せません。
そのためコンプやエフェクター・リバーブを足して音を作っています。
現場の音を知らない素人に聞かせるためなのでそうなのでしょう。
これが現在の主流のようですね。
残念ながら市販の機器は
コストの関係上、、
当方の機器の電源と比較して
電源部が貧弱で左右のクロストークが大きいため
音が中央によってセパレーションが悪くなっています。
それとローノイズ重視のためにスルーレートが1桁のオペアンプを使用しているので、
50−100人の大編成の音楽では混変調を起こしますね。
空間音も現場の音とは異なる表現をしています。
ですからハイレゾのサンプル音源は
単一楽器か小編成で演奏出来る音源ばかりです。
マルチトラック録音で誤魔化しても確認が出来ますよ。
録音風景の記録です。
5.
最近は市販のメジャーレーベルで
吹奏楽関係の音源が出ています。
海上自衛隊 東京音楽隊の
三宅由香莉 三等海曹
がデビューしています。
ソニーレーベルから
何と!
全日本吹奏楽コンクールでの金賞常連校の
「精華女子高等学校吹奏楽部」
のCDが発売されています。
これは所ジョージが司会している番組で紹介されていました。
大変素晴らしい難易度の高い曲を
難なく演奏しています。
どちらも市販音源ながら
聞き易く録音はされていないので、
再生機器のグレード(値段ではなく)の判断には最適です。